タロット説法No.23 時には運にまかれてみる

時には、運にまかれてみる

タロットカード10枚目に描かれる
「運命の輪」。

このカードは
因縁・宿命・巡りを象徴し、
人知を超えた大きな流れが
私たちの人生を動かしていることを教えてくれます。

一般には
「ビッグチャンス到来」
「運命的な出会い」
などの意味で語られることの多いカードです。

確かに、
その理解も間違いではありません。

けれど仏教的に見るならば、
運命の輪とは、
思い通りにならない現実そのもの
とも言えるでしょう。

「チャンス到来」が、
喜びや安心という形で
現れるとは限らないのです。

実際、
人生の大きな転機は、
その最中には
とても「ありがたい」とは思えない姿で
訪れることがほとんどです。

・突然、仕事を解雇された
・長年連れ添った相手から別れを告げられた
・信じていた投資で失敗した
・病を得た

そんな出来事に直面した時、
人はこう思います。

「なぜ、こんな理不尽が
私に起きるのか」

けれど――
仏教では、
そこに因果と導きを見ます。

・解雇という縁によって、
本当に生きる道に出会えた
・別れという苦によって、
真実の愛を知った
・失敗という痛みが、
智慧を育てた
・病という試練が、
命の尊さを教えてくれた

苦しみは、
そのままでは苦しみですが、
受け止め方によって、
悟りへの縁となるのです。

日蓮聖人は、
病気という辛い出来事さえも、

「転重軽受(てんじゅうきょうじゅ)」
――過去の重い業を、
今世で軽く受けている姿

また
「善知識(ぜんちしき)」
――仏の道へ導く
尊いきっかけ

として受け取ることができる、と説かれました。

つまり、
私たちが「不幸」と呼んでいる出来事の中にも、
仏のはたらきが
確かに息づいているのです。

「運命の輪」が示すのは、
抗えば苦しみ、
委ねれば導かれるという真理。

その時、
人にできることは多くありません。

ただ一つ――
運にまかれること。

無理に抗わず、
理由を求めすぎず、
今起きている現実を
そのまま引き受けてみる。

やがてその輪を抜けた時、
きっと気づくでしょう。

「あの苦しみこそが、
私をここへ導いた
仏のはからいだった」と。

もし今、あなたが
理不尽で、受け入れがたい流れの中にいるなら――

それは、
人生を大きく転じさせる
運命の輪が回り始めた合図
なのかもしれません。

合掌。