エッセイ5 諸行無常の中で不変を貫く HIEROPHANT 法王

法王:

タロットカード5枚目に登場する法王。彼の役目は、天の神と人々の仲介役です。
人々に神とのご縁をつくり、幸せに導くのが彼の使命。彼はすべての人々が神のもとで平和に幸せに暮らせるように、昔から伝わる常識やルールを伝え続けます。
改革や変化を好まず、彼の教えや行動は一貫性があることから「現状維持」の意味も持ちます。常に現状に満足せず、改革し続け、前進する皇帝のカードとは対照的でもあります。

若い頃の私は皇帝の方が断然かっこいいと思っていました。現状に満足することなく、常にさらなる勝利を求めて改革する姿は勇敢で頼もしく思えたものです。
それに比べて、改革を好まない法王は保守的でなんだか弱い人のように思えました。
けれども、今は違います。仏教には「諸行無常」という言葉があります。
この世の万物は常に変化して、ほんのしばらくも止まるものはないという教えです。むしろ「変化」は当たり前のことかもしれません。

変化著しい諸行無常の世の中で、周りに影響されることなく現状維持を貫く方の強さこそ、常識破りと言えましょう。諸行無常の世の中でずっと昔から変わらないもの、それこそが「神の愛」なのかもしれません。