妙恭帖 第三十二帖
「神さまは、なぜ別れさせるの?」
母がパートをしていた頃の話です。
パート先に、当時30代前半のYさんという女性がいました。
ある日、母が仕事に行くと、Yさんがめそめそ泣いています。
「一体どうしたの?」
と聞くと、
「ピーちゃんが死んじゃったんです!!
思い出すと、悲しくて悲しくて……」
ピーちゃんというのは、Yさんが飼っていた手乗りインコ。
職場の机にもピーちゃんの写真を何枚も貼っているほど、溺愛していました。
母からしたら、
「え? インコ?」
だったのかもしれません。
でもYさんにとっては、大切な家族です。
片腕をもぎ取られたような悲しみだったのでしょう。
話している間も、涙がぽたぽた止まりません。
母は、
「もう今日は帰ったら?」
と、Yさんを家に帰したそうです。
恋人との別れ。
友人との疎遠。
仕事仲間との別れ。
師との別れ。
そして、大切な存在との死別。
昨日までそばにいた人が、自分の人生からいなくなる。
そんな時、
「どうして出会わせたの?
別れるくらいなら、最初から出会わせなければよかったじゃない」
と思うことがあります。
人生には、一生続くご縁もあります。
でも、ある時期だけ一緒に歩くご縁もあります。
そのご縁から何かを教わり、
自分も何かを渡し、
あるところまで来たら、道が分かれる。
今日のタロットは「死神」。
死神は、怖いカードに見えます。
でも死神が教えているのは、単なる「喪失」ではありません。
終わるものを終わらせて、次へ進むこと。
もし、すべてのご縁を永遠につなぎ止めていたら、
私たちは新しい場所へ進めないのかもしれません。
タロットは神さまが、私たちの魂を自由にするために与えてくださったバイブルです。
死神は、
「必要のなかったご縁などない」
と教えてくださっているのかもしれません。
その後のYさん。
しばらくは仕事に手がつかず、ぼーっとしていることも多かったそうです。
もともと転職することも多かったようで、その後しばらくして会社も辞めました。
あれからずいぶん長い年月が経ちました。
今頃Yさんが、また新しいご縁に恵まれて、
そして幸せに暮らしていたらいいな。
そう願っています。




















