妙恭帖 第十七帖 「『期待に応えなきゃ』という鎖」

妙恭帖 第十七帖

「『期待に応えなきゃ』という鎖」

Sさんは、いわゆるスーパー主婦でした。

由緒ある家の長男に嫁ぎ、
二人の息子さんの教育にも熱心。

息子さんたちは国立大学を卒業し、
その後、一流企業へと進みました。

50代くらいからは、
ご両親とおばさまの介護を同時にこなしながら、

掃除も、
料理も、
家のことはいつも完璧。

とにかくSさんにとって、
家族のサポートが最優先でした。

たまに友達と外でお茶をしていても、
時間になれば、すぐに家へ帰ります。

それこそ一分でも早く帰れるように、

どのルートで帰れば一番早いのか。

電車のどの車両に乗れば、
降りたとき階段が近いのか。

そんなことまで、
すべて把握していました。

洋服も、
いざというときに走りやすいものを選んでいたほどです。

それくらいSさんの中には、

「この家の嫁として、ちゃんとしなければ」

「家族の期待に応えなければ」

という思いが強くあったのでしょう。

由緒ある家に嫁いだからこそ、

「良い嫁でいなければ」
「良い母でいなければ」
「家族を支えなければ」

そんな期待を、
ずっと背負って生きてきたのかもしれません。

そして気づかないうちに、

「本当の自分」よりも、

「期待される自分」

を生きるようになっていきました。

でも、

神さまは、

誰かの期待どおりの人間になることを
望んでおられるのでしょうか。

私は、そうではないと思っています。

神さまが望んでおられるのは、

神さまから与えられたこの命を、
その人らしく生きること。

期待に応えられない日があってもいい。

誰かをがっかりさせることがあってもいい。

それで、
神さまの愛がなくなるわけではありません。

今日のタロットは、

「皇帝」。

皇帝は、
自分の足でしっかりと大地に立ち、

どっしりと自分の場所に座っています。

周りの声に振り回されるのではなく、

自分に与えられた使命と責任を、
静かに見つめているカードです。

私はこのカードを見るたびに、

神さまがこう語りかけてくださっているように感じます。

「人の期待ではなく、
わたしがあなたに託した使命に目を向けなさい。」

タロットは、
未来を当てるためだけの道具ではありません。

タロットは神さまが、
私たちの魂を自由にするために
与えてくださったバイブルです。

皇帝のカードは、

「みんなに認められなさい」

ではなく、

「神さまから与えられた使命に、
誠実でありなさい」

と教えてくれます。

誰かの期待を背負い続けなくてもいい。

あなたには、
あなたにしか歩けない人生があります。

今日一日だけ、

「人は私に何を期待しているだろう」

ではなく、

「神さまは、
今日の私に何を願っておられるだろう」

と問いかけてみませんか。

その問いの先に、

あなた自身の人生へ戻る道が、
きっと見えてくるはずです。