妙恭帖 第二十二帖 「願いが叶わないとき」

妙恭帖 第二十二帖

「願いが叶わないとき」

Aさんは、奥さんのいる男性と付き合っています。

彼は言います。

「妻とは別れる話をしているから」

けれど、その言葉を聞き続けて、
もう5年以上になります。

Aさんは、早く結婚したい。

だって、このままでは年齢を重ねていく。

子どもを産みたいと思えば、
いつまでも待っていられるわけではありません。

だからAさんは、いつも祈っています。

神さまのことも信じています。

「願いが叶う」と言われる
パワーストーンだって買いました。

それなのに――

なぜ、願いは叶わないのでしょう。

そんなとき、

「神さまは、どうして私の願いを叶えてくださらないの?」

そう思うことがあります。

今日のタロットは
「吊るし人」

このカードを一見すると、

吊るされている。

動けない。

苦しい状態が続いている。

そんなふうに見えます。

けれど、
吊るし人の頭には光があります。

身体は動けなくても、
魂の中では何かが起きているのです。

わたしはこのカードを、

神さまが

「今じゃないよ」

と、あえて止めてくださっていると
読むことがあります。

神さまの答えは、

「まだ、その時期じゃないよ」

なのかもしれない。

あるいは、

「あなたが進む道は、そっちじゃないよ」

なのかもしれません。

願いが叶わないからといって、
神さまがあなたを見放しているわけではないのです。

むしろ神さまは、

Aさんが苦しんでいることも、

泣いていることも、

焦っていることも、

全部ご存じなのかもしれません。

それでも手を出さず、

答えも教えず、

ただ、動けない時間を与える。

それはもしかすると、

今ここで願いを叶えてしまうことが、
Aさんの魂にとって
本当の幸せではないからなのかもしれません。

何もしてくださらないように見える神さまも、

本当は、

Aさんを見守りながら
一緒に泣いているのかもしれません。

そして、いつか時が流れたとき。

Aさんにも、
神さまの愛がわかる日が来るのでしょう。

「あのとき神さまは、
私を見捨てていたんじゃなかった」

「あのとき私を止めることで、
別の道へ導いてくださっていたんだ」

そんなふうに思える日が、
きっと来るのだと思います。

幼い子どもが
自転車の練習をするとき。

親は、ずっと後ろから
自転車を押しているわけにはいきません。

転びそうになっても、

ふらふらしていても、

いつかは手を離し、
その子が自分でバランスを取れるようになるまで
見守ります。

きっと神さまも、
同じなのだと思います。

願いを叶えることだけが、
神さまの愛ではありません。

ときには、

止めること。

待たせること。

そして、

自分自身で気づくまで
何も言わずに見守ること。

それもまた、

神さまの深い愛なのかもしれません。

タロットは、
神さまが魂を自由にするために
与えてくださったバイブルです。