妙恭帖 第三十三帖
「神さまは、なぜ待たせるの?」
ここで暮らし始めて、12年ほど。
その店は、わたしが来たときには、すでにありました。
小さな店で、ほぼ毎日開いている。
でも、なんとも謎の店でした。
入り口には、カップやお猪口などが雑然と並べられ、古着のようなものも掛けられている。
けれど、どうにも統一感がありません。
正直、
「物置なのかな?」
と思ったこともあります。
でも、ちゃんと店の名前はあるし、中にはいつも店主が座っていました。
ただ、お客さんが入っているところは、一度も見たことがありません。
何を売りたいのかな。
なんで店をやっているのかな。
大きなお世話なのですが、わたしの通り道にその店はあったので、なんとなくずっと気になっていました。
今日のテーマは、
「動いていない時間には意味がない」
という思い込みです。
種を蒔いて、なかなか芽が出ないからといって、
何も起きていないわけではありません。
見えない土の中で、ちゃんと変化している時間もあります。
あの店主にも、店主の中で何かが動いていたのかもしれません。
今日のタロットは「吊るし人」。
吊るし人は、
動けない。
結果も出ない。
傍から見れば、何も起きていないように見えます。
でも、彼の頭には光があります。
つまり、
身体は止まっていても、魂まで止まっているわけではない。
「タロットは神さまが、私たちの魂を自由にするために与えてくださったバイブルです」
吊るし人は、
「進むことだけが成長ではありません。
待つことでしか育たないものもありますよ」
と教えてくださっているのかもしれません。
先日、その店が閉店しました。
店主の中で、何か見えたものがあったのかな。
それは想像でしかありません。
でも、
あの長い時間も、きっと何かにつながっていたのだと思います。
店主さん、元気でいてくれたらいいな。




















