妙恭帖 第十帖
「『コントロールしたい』という鎖」
お客様のKさんは、
今年の春、思いがけない部署へ異動になりました。
社内でのキャリアも長く、
これまでは専門分野の知識を生かしながら、
周囲の人たちとも、うまくやってきたそうです。
ところが、異動先は
これまでの経験がほとんど生かせない、
知らないことばかりの部署でした。
「どうして私が……?」
「なぜ、ここに……?」
勤続年数では自分のほうが先輩なのに、
年下の後輩に一から仕事を教わらなければならない。
しかも、その部署の人たちは
以前の職場とは違い、
あまり人と交流したがらない雰囲気だったそうです。
仕事帰りに、
「一杯どう?」
と声をかけ合うような空気もない。
仕事はわからない。
人間関係にもなじめない。
「毎日が苦しいのです。
次は、いつ異動できますか?」
Kさんは、そんなご相談でいらっしゃいました。
そこでカードを引くと――
出たのは、
「運命の輪」
でした。
運命の輪は、
「今起きていることにも、意味がある」
と教えてくれるカードです。
それと同時に、
「人生には、自分の力だけでは
動かすことのできない流れがある」
ということも教えてくれます。
私たちは、
吹いてくる風の向きを
自分の都合で変えることはできません。
けれど、
その風をどのように受け、
その場所でどのように生きるかは、
自分で選ぶことができます。
神さまは、
「流れに逆らい続けるのではなく、
今与えられている場所で、
できることを尽くしなさい」
そう語りかけてくださっているように思います。
もちろん、
つらい場所で無理をし続けなさい、
という意味ではありません。
ただ、
「早く異動したい」
「以前の環境に戻りたい」
「思いどおりに状況を変えたい」
その思いに心を奪われていると、
今ここで受け取れるはずの学びまで
見えなくなってしまいます。
タロットは、
神さまが魂を自由にするために
与えてくださったバイブルです。
運命の輪は、
すべてを自分でコントロールしようとする手を
そっとゆるめ、
神さまの流れを信頼することを
教えてくれるカードなのです。
あなたは今、
何かを無理に動かそうとしていませんか?
今は押し進めるときではなく、
流れに身をゆだねるときなのかもしれません。
流れが変わるまでの時間にも、
きっと意味があります。

















