妙恭帖 第二十六帖
「神さまは、なぜ予定を狂わせるの?」
亡き祖母が、よく語っていた武勇伝?があります。
祖母が若い頃のこと。
ある日、お見合いをするために料亭へ出かけました。
その日のために着物を選び、
髪もきれいに結い、
最高の自分に整えて向かったのでしょう。
ところが――
約束の時間になっても、
お相手が現れません。
待っても、待っても、来ない。
「時間を間違えたのかしら?」
「もしかして、お見合いが嫌になった?」
「わたしのお見合い写真が気に入らなかったのかしら……」
きっと、いろいろなことが頭をよぎったのでしょう。
けれど、いつまでもそこで待っていても仕方がありません。
祖母は席を立ち、
料亭の廊下を歩き始めました。
すると、少しだけ襖の開いている部屋がありました。
その隙間から、中にいる男性が見えたのだそうです。
祖母が覗いてみると――
これが意外にも、かっこいい。
しかも、祖母の好み!
そこで祖母は、咄嗟にこう申し出たそうです。
「わたし、あの方とお見合いをさせてください」
その後、どのような話になったのか、
細かなことまでは聞いていません。
ただ祖母は、最後に必ずこう言いました。
「で、それがおじいちゃんなの」
……なんと、あっぱれな明治女性。
もし最初に予定していたお相手が、
時間通りに現れていたら。
祖母と祖父は、
出会っていなかったのかもしれません。
人生って、不思議なくらい
予定通りにはいかないものです。
でも私たちは、予定が狂うと不安になります。
なぜなら心のどこかに、
「私が描いた人生の予定通りに進むことが、幸せなのだ」
という思い込みがあるからです。
でも、本当にそうなのでしょうか。
今日のタロットは、
「塔」
塔は、私たちが一生懸命つくり上げてきたものを、
一瞬で壊してしまうように見えるカードです。
だから、怖い。
けれど塔が壊しているのは、
あなたの人生そのものではありません。
もしかすると壊しているのは、
「これが私の人生だ」と思い込んでいた設計図
なのかもしれません。
「この人と結婚するはずだった」
「この会社でずっと働くはずだった」
「この道を進めば幸せになるはずだった」
けれど神さまから見れば、
「そっちじゃないよ」
ということもあるのかもしれません。
そんなとき、
予定が狂う。
道が閉ざされる。
積み上げてきたものが崩れる。
私たちにはそれが、
不幸の始まりのように見えることがあります。
でも、あとになって振り返ったとき、
「あのとき予定通りにいかなくて、本当によかった」
と思うこともあるのです。
祖母のお見合いのように。
タロットは、
神さまが私たちの魂を自由にするために与えてくださったバイブルです。
塔は、
あなたの人生を壊すカードではありません。
あなたを、
本来進むべき道へ戻すために、
今までの道を壊してくれるカードなのかもしれません。
もし今、あなたの予定が大きく狂っているのなら。
すぐに「失敗した」と決めなくてもいい。
もしかすると神さまは今、
あなたの人生を壊しているのではなく、
あなたがまだ知らない幸せへ向かうために、
そっと軌道修正をしている最中なのかもしれません。




















